荻窪百点 314号 表紙に寄せて
松葉編集長松葉編集長

荻窪検定初級・練習問題の答えは、「妙正寺池 」です。

石神井公園ボート池
石神井池・三宝寺池・石神井城址を合わせた石神井公園

「今日は、石神井の池に行こうよ」と友だちを誘った。
 今は環状八号線と言うけれど、当時は名もない、さほど広くもない砂利道で、ひたすら北へ歩いた。西武線を越えてなおも行くと、道はT字路となっていて、千川上水の流れに沿って生えている荻の群生の壁にさえぎられた。右に折れて川沿いの千川通りを行き、すぐ左に。橋を渡って道なりに行くと、とても大きな池があった。石神井池である。
歩く見渡すかぎりが林と畑で、途中、数軒の農家が目に付くぐらぃ。何もない。夕闇迫る帰路は明かりもなく静かで、とても怖かった記憶がある。
今でこそ荻窪から西武池袋線の石神井公園駅行きのバスがあるが、その頃の小学生の遊ぶ徒歩の行動範囲は、今に思うと驚くほど広かった。
ちなみに、このバス路線は現在、荻窪駅につなぐ利用者の最も多い路線である。
 ところで、この石神井池は、昔は存在しなかった。ここは三宝寺池を源流とする石神井川の流れで、両岸にはささやかな田んぼが続いていた。
 池になるきっかけは、昭和5年、この辺りが石神井風致地区に指定されたことで石神井公園となつたことであった。池ができたのは昭和8年。石神井風致地区協会が、石神井川に水位を維持するための堰を設け、広さ4万坪、水深1メートルのボート池として造成した。さらに昭和34年には、石神井池は三宝寺や石神井城址と合わせて、区域約18万平方メートルを都立石神井公園として開園した。
池の周り一帯に桜を植え、見事な桜の名所となったが、憩いの場所として、荻窪から出かける人は絶えない。
文・松葉 襄