善福寺公園の上池と下池を結ぶ水路に
杉並区が親水施設を開園 

明るく開けたボート池と言われる上池と、野趣豊かな下池のある善福寺池公園は、それぞれに楽しめる杉並区の人気スポットだ。最近は、にぎやか過ぎてと井の頭池を敬遠する人たちも多く訪れる。
 これを昔からある風景と思うだろうが、池は人工的に造られたと知る人は、どれだけいるだろうか。豊富な水を湛えた自然豊かな池に、それと知らないとしても不思議はない。
 奥多摩から東京湾へ扇状に広がる武蔵野台地。そこを荒川水系、多摩川水系を源流とする伏流が流れてくると、標高を同じく荻窪辺りで湧き水となって地上に顔を出し川となった。
 今の善福寺池、石神井公園池、井の頭公園池、妙正寺池、天沼弁天池は、皆、湧水から生まれた川をせき止めた池なのだ。
 善福寺川を堰で池としたのは、井荻村を土地区画整理で整備した内田秀五郎村長。大正も終りの頃、ここが風致地区指定されてからだ。
 ところで、このたび善福寺池の両池をつなぐ水路を杉並区が親水施設としてオープンした。都立公園の中で、この水路のみ杉並区有地なので、  地元小学生たちの提案を受け入れて出来たのだ。以前は藪で覆われた流れに地元の有志が蛍を育てたり、またアートの森のイベントはあっても、ここは存在感のなかった水路。新たに子どもたちにとって水に親しむ場となり、名称も遅野井川と古名で呼ばれる。
 安心して遊べるために、きれいな水をポンプで揚水して流し、これまでの水路は、その流れの下をトンネル式で下池につないでいる。
  表紙写真と文・松葉 襄