街をにぎやかに、そして主張する
商店街フラッグ

道行く商店街をにぎやかに彩るフラッグ。今では、全国どこの街に行っても見られる光景となっている。
ここで言うフラッグは、商店街フラッグを言うが、商店街フラッグが広く存在感を示すようになったのは、なんといってもフラッグを掲出できる街路灯の整備があったからと言える。
 フラッグを「旗」で、日本国語大辞典にみると、布地や紙で作り、竿などにつけて掲げ、標識、儀礼、祝賀、装飾、宣伝などに使うとある。
 商店街フラッグは、まさに、その語意すべてを網羅していて、なかでも、商店街の存在と位置づけを示すことは重要なことである。そして、その表現もそれにそったものとなる。しかし時には商店街として、その範囲を超えた、国の祝日に日の丸を、また氏子神社の祭礼には「巴」の印のついたものなど、イベントを示すフラッグを掲げる。
 今号の表紙のフラッグは、見事に整然と並ぶ街路灯に掲示された荻窪北口大通りのだが、これまでは、そうではなかった。
 荻窪北口大通り商店街(振)の街路灯が耐用年度を迎えて電灯LED化とあわせてポールの位置調整も整然と、昨年、新しくできたからこその光景なのだ。それまでは、青梅街道側の街路灯の間隔は不揃いで、フラッグを掲げるのは建物側の装飾灯のはるか上、見づらいものであった。だから今回の街路灯の整備で、フラッグは威風堂々と胸を張っているように見える。
 同商店街の街路灯の建て替えが、ちょうど商店会結成90年の節目ということもあって、このチャンスに皆様に親しまれる商店街でありたいと、通称名を新たに「荻窪クラシック・アベニュー」とした。クラシック音楽ホールとして有名な杉並公会堂が通りにあることからで、そのイメージを、街路灯のポールやフラッグのデザインに取り入れて、商店街の個性を表現した。 ところで、各商店街が、それぞれのフラッグでそれぞれの商店街を主張しようとする中で、荻窪の名を高めようとするフラッグを掲げたのが荻窪駅前商店会である。こちらは、荻窪に在住した棟方志功に着目し彼の作品をデザインとしたフラッグをつくったのだ。そして、たまには、荻窪の各商店街で一斉に掲出をと考える今までにない新しさに着目をする。となると、商店街が街を表現する方法の一つとして、フラッグに「街の楽しさ」の表現を加えて期待できるというものだ。これは、まちづくりの街を表現する第一歩でもある。
    写真・文 松葉 襄